スペシャルインタビュー

日野皓正 スペシャルインタビュー

日野皓正 プロフィール
1942年東京生まれ。9歳の頃からトランペットを学び始め、13歳の頃には米軍キャンプのダンス・バンドで活動を始める。初リーダーアルバム『アローン・アローン・アンド・アローン』でマスコミから"ヒノテル・ブーム"と騒がれるほどの絶大な注目を集め、続くアルバムも大ヒットを連発。 1975年音楽活動の拠点をN.Y.に移す。1989年には日本人として初めてジャズの名門レーベル"ブルーノート"契約。2000年、ソニーミュージックへ14年ぶりに移籍。
同年より大阪音楽大学教授、若手の指導やチャリティー活動にも情熱を注ぐ。
平成13年度芸術選奨文部科学大臣賞を、平成16年春、紫綬褒章、他数々の名誉ある賞を受賞。唯一無二のオリジナリティと芸術性の高さを誇る、日本を代表するアーティストのひとりである。
newアルバム「寂光」では日本人独特の「間」の感覚を磨き上げたオリジナリティ溢れるジャズ。自己のグループで新たなる音宇宙を創造した。現在もジャズシーンを代表する国際的アーティストとして世界各国で精力的なライヴ活動を行っている。
【日野皓正 オフィシャルサイト】
日野さんに繋がるスターを…
佐藤 : 日野さんオハヨウゴザイマス、チョイとお邪魔します!!
日野さんに繋がるスターを…っていう感じのテーマで…
日野 : スターって言ったってさ…上手いのはいるんだよ。若い人はみんな上手いんだよ。だけど魅力あるオピニオンリーダーがいないんだよね~そう思わない?
佐藤 : そうですね……
日野 : テレビにジャズメンがメインで放送されるってなミュージシャンって、まずいないでしょ。
佐藤 : そうですよね。まず、なかなかメディアが取り上げてくれないですもんね。
日野 : そうでしょ。
佐藤 : それでもBSとかハイビジョンとか……
日野 : それも、みんな寝てる時間帯だからね…(笑)
佐藤 : だから、もっとジャズが文化的になって、日野さんを音楽文化大使にとかね、ニューヨークと行ったり来たりして…
日野 : 僕は文化っていうより、やっぱりナイトクラブへ行くなり、映画を観に行くなりっていう機会があったから行ったけど、今は与えられるチャンスが作られてないから……分散しちゃってるからね。
楽しみが昔は何もなかったから、映画に行くか、ジャズ聴くか、それしかなかったから。
ジャズ喫茶に行くのが楽しみだったからね。
今は、黙って聴くっていう忍耐がないから…時代が変わっちゃったからな~だからさ、ジャズって今後どうなるんだ……
佐藤 : 次に繋がるスターがいなくなっちゃうと……衰退しちゃいますよね。
日野 : でも、中学生や小学生がジャズやってるわけだ。マーチングバンドとかさ、それに飽きた子供たちはもっと上にいきたいと思って、ジャズを選ぶわけよ。
で、高校や大学のジャズ研に一応いくわけよ。
それで安いジャズ喫茶かなんかで、何千円かもらうミュージシャンに育っているだけなんだよね。
佐藤 : これって、でも深刻な問題なんですよね。
日野さんが先頭に立って、若い人やちびっ子達を育てていって、彼等も日野さんに憧れてプロになりたいっていう子も、これから絶対に出てくると思うんですけれども……
日野 : なった所でねぇ、お金はもらえない、CD出しても売れない……
佐藤 : なんか深刻になっちゃいますね……
日野クインテットによる新たな創造。深遠なる音宇宙が広がる。日野皓正クインテット 「寂光」
日野 : ジーンズで汚い格好してやってるからさ、あれじゃ、テレビ局だって乗ってこないよね~
佐藤 : 生活感が出過ぎちゃって…
日野 : そうだね~それでちょっと奇抜なことをやり過ぎて、それがブームになったりすると、お金儲けがメインに立っちゃうから、本当の音楽的芸術とかいうのではないじゃん。
そうすると、どの方向に向かってジャズが行くべきなのかっていう…昔は世界的にもアメリカがリードしてたから、だからジャズを真似して、アメリカ風にやれば、いいのよ。
でも今はアメリカでも日本でも、同じ日に同じ情報を得られるんだから、アメリカじゃないといけない必要がないわけよ。
やっぱり、かっこいいものに憧れるわけだ。それでイージーなものに憧れているから、だから…そういうのを考える若者集団がもっと増えないとダメなんだよ。
佐藤 : アイディアですよね。
日野 : そう!だって俺たちがさ、これからカッコ良く生き続けるって、それはムリだよ。オジサンだから~(笑)
奇抜なもの着てさ、なんだあのオジサン達って言われるのがオチなわけ(笑)
佐藤 : いや、でも、マイルスでも晩年はかなりファッション的でしたよね。
日野 : 音楽がファッション的だからね。マイルスは変わってないけど。包装紙が変わってるじゃない。包装紙は今の時代だからいいけど。俺はもうそういうのは出来ないタイプだから…
佐藤 : でも、「寂光」聴いたんですけど、スゴイですよね。
日野 : 日野皓正クインテット 「寂光」 でも、あれはマイルスとは逆の方向だからね。マイルスはもっと一般受けを狙って、俺たちは反対を狙っているから、そこでギャップはあるよね。
包装紙でも何でも、いいや、若者達が「あのオジサンすげーな~!」って思ってくれればいいけど…「こうやりたいんだけど、難しそうだよな」って思う訳よ。難しいのよ、何十年もしなきゃいけないんだから。
佐藤 : ハイクラスの、セレブな音楽って感じがするんですよ。
日野 : 「だから俺たちではちょっと出来ないよな」って……出来ないと、ブームにならない。
佐藤 : でも、めちゃくちゃ楽しそうですよね。
日野 : 俺たちはね(笑)
だから、俺たちを聴いた事ない人、食べた事ない人達だと、「今までこんなもの聴いたことなかった、知らなかった。食べた事ない。あぁ、やっぱりオジサン達ってカッコいいんだ~」って思っても、それが病みつきになるほどは、まださ……
佐藤 : 私たちリスナーの方もそれだけの知的レベルを持ち合わせていないから、どこかでおいてきぼりを食らっているような、感じはあるんですが……
日野 : 中間はそうだよね。なんであんなんだよ。もっとスウィングしてくれればいいのに~ぃって思っているわけだ。
佐藤 : でもやっぱり、オリジナルに結構今は……
日野 : そうだね。音楽の形態もね…人を乗っけるのって、訳ないことじゃん。
佐藤 : そうですね。皆が知っている曲を……毎日同じ演奏して……
日野 : さかのぼってやれば、うわーってなるわけじゃない。 そんなのは若い人がやるべきなんだよ。
若い人達がやって、ジャズってすげーって言えばいいんだけど……昔の音楽って……だからジャズを新しくする必要があるわけよ。今のファッションで、今のテイストで若い人達がやりだせば、またあがるわけよ。
それに俺たちが乗っかって、ゲストで出てやろうか、「おじさんもやるんだ!」みたいな(笑)それを、やんなくちゃいけないんだよ。オジサン達がリードしているようじゃ、しょうがないんだよ。
20から25ぐらいがさ、スタンダードでグッと出て来てさ、「何だあれ!あれもジャズなんだ!」みたいなさ、よし!テレビってなればいいのに、×××××ちゃんだってさ、ひとりだけ浮いた格好をしてるけどが。
バックで暗いやつらが楽器やってるわけよ。ゲームの世界から出て来るようにして、新しいジャズをやれば、それはまた違う効果があるかもしれないのに。
佐藤 : そうですね。ひとつのグループが同じ価値観をもって売れればね~
日野 : メインの子だけが浮いちゃってるんだもん。バックがオジサン達なんだもん(笑)
佐藤 : それは変ですね。
佐藤 : そうですね。ひとつのグループが同じ価値観をもって売れればね~
日野 : 変だよ。
佐藤 : 本人だって乗り切れないですよね、きっと。
日野 : 陶酔できないよね。やらなくてもいいのに踊っちゃたりさ、だから、見せ方が中途半端なのよ。
佐藤 : でも、何とかしなくちゃいけないっていう、危機感を皆が持ってない気がするんですよね。
日野 : そうだねぇ。プロモーションなんだよ。
やっぱりテレビが食いつかなきゃいけないし、ジャズに狂ってるっていう。テレビが食いつくディレクターがいないんだよ。昔はさ、狂ってたもん。
ナベさん(※元TBSのプロデューサー 故 渡辺正文さんのことだと思います)だろうが、誰だろうが、そういうジャズ世代のプロデューサーがいたわけ。だから取り上げたんだよ。今はいない。 だから、ジャズなんて出したってしょうがない、ってこれで終わりだもん。それを改革しないと。
佐藤 : そうですよね。それで前に、いいプロデューサーがいないって、日野さんがおっしゃっていたんですね。今はインターネットを通じて、あらゆるウェブにね、広告を載っけたりとか……
日野 : なるほどね。そこは難しい所だな。若いひととお年寄りのお客さんを混ぜちゃうと、お客さんはコンフューズして来なくなっちゃうんだよ。オールドの人は来ないから。
あとは、オピニオンだよね。どうやって生きているかっていうのは、政治の世界だったり、エコの問題だったり、そうやってオピニオンリーダーとして、地球を救う人になったり、そういうものの自覚がミュージシャンには全然ないんだよ。
佐藤 : 自由主義者ですよね。
日野 : だからそういうことをね、情熱あるひと達が集まって、会議して、皆でアトランダムに、それを仕切って、場所をどっか借りてね、会議をしようと。
それで、会議をして、こういうのに使えるんだったら、スポンサー探しで、会議して、昔やっていた「オール・ジャパン・ジャズ・エイド」そういうものの若バンを作って、そうやって人を助けてるんだっていう、集団を作らないとダメ。 そうやって、存在感を一般の人にね。「いいことやってるジャン」って。そうやってムーブメントを作って。だからさ、大きいことを考えていかないと。
佐藤 : 今の日野さんの熱いコメント頂戴して、若い人達に、「みんな、もっとジャズを盛り上げてよ!」ってそんなようなものを作っても良いですか?
日野 : あなたが作るんなら、関係ないジャン。 うたい文句があるジャン!今の何とか決起大会とかね(笑)
世の中の人達がみんなディスカッションするんだけど、それをうたってね、何とか団体とか、そういう今の流行のキャッチフレーズをつけて、どう思う?っていう課題を作って、それをまとめる訳よ。みんなが言うと思うんだよ。
「俺は最近のミュージシャンはこうだと思う」だと、「だからダメなんだよ」とかね。
そういうのを全部まとめてさ。そうすると、文殊の知恵で、何か見えてくる時があるんだよね。
その時に今度、スポンサーとテレビ局と、媒体がどうやって対応していくかっていう。
佐藤 : 日野さんがそれこそ、リーダーシップを取って、皆を引っ張って行くっていうのは、そういうのは面倒くさくてお嫌ですか?
日野 : ヤダよ。だからね、俺が若い時にやってきたことを、誰かがやんなくちゃいけないっていうね。
そうなったら、軌道修正だったり、もうちょっとこうやったらいいんじゃないの?とか直してやったり、そういうのは出来るけど。俺がまた出ていってね、この為にっていうのはさぁ。
お前達がやる時代なんじゃないの?って俺はずっと問いかけてるわけよ。
佐藤 : でも、まだ無名で若手で、優秀なアーティストを発掘されてますよね?
日野 : 香川県でドラムとアルトの奴が二人入ったんだよ。すげーのいっぱいいるよね。
佐藤 : でも、日野さんに声をかけられたら、それは夢心地ですよね。だから一生懸命になりますよね。みなさん。
日野 : ドラムのやつは、かっこつけて「プロになりたい」って言ってて、だから「学校なんて行くなよ」って言ってて、アルトのやつは、「プロを怖がらせるぐらいのアマチュアになりたい」って。
佐藤 : なんか、かっこいいですね。
日野 : かっこ悪いよ。俺から言わせれば。度胸がないから言ってるんだから。
私もプロになりますって言い切れないわけよ。どうなるかわからないし、みたいなね。
だから、吹いて、プレイさせた時に、「お前、プロを怖がらせるアマチュアなんて二度と言うんじゃねぇぞ。私はプロになりますって言えよ」って言ったら、「はい」って。
佐藤 : 高校生の子ですか?
日野 : うん。そしたら、プロになるつもりでいるから。
佐藤 : 素直ですね。
日野 : ステージが終わってから、言ったのよ。
一流と二流の差っていうのは、雲泥の差があるんだぞと。 一流っていうのは、大変なことなんだよ。 みんな、血を流して、こつこつやってきた奴が一流になる。あとは他でどっかでやってる奴は二流が多いんだ。二流と一流は全然違うもんなんだ。
だからね、「かっこつけて、プロじゃなくて、アマチュアでいいなんて言ってるなよ。その中に入れよ!」って。
見てる写真家で料理家が1人いたんだけど、ベテランの所で皆辞めさせて、ドラムと二人でやらせたのよ。そしたら「私は涙が出て来ました」って。やっぱあいつらは純粋だから。だから、「お前らはね、上手い人とやったことがないんだよ。だからそんなことが言えるんだよ。
上手い人とやってないと、やっぱり二流になるから。」終わってから、「なんだ、プロって大したことないじゃんって思ってるだろ。だからお前アマチュアでいいって言ったんだよ。本当の怖がる奴とやったら、そんなこと言えないぞ。私もしっかりしなきゃって、やり直すぞ。だから、ちゃんとやれよ」って。「はい」って(笑)
佐藤 : プロ意識っていうのは、どういう所から来るんですかね。飯を食えるからってことではないですよね。
日野 : 全然。プロなんかさ、あなたが今日ドラムやりました、プロになりましたって宣言すれば、みんなプロなんだから。
あなたはね。プロテストがないんだから。この世界は。
プロでちゃんとやるっていうのはさ、一生魂をそこに置いて、一生の契約をしたわけだ。その人がプロなんだよ。
佐藤 : 日野さんみたいに、環境が整っている所で、音楽を始められたっていうのは、やっぱり……
日野 : 整ってないよ!だって、親父にやれやれって最初は言われたわけでしょ。
お母さんにピアノの練習しなさいって言われて、それが嫌でピアノを辞めたっていう人も多いじゃない。
環境が整っているのに、やらなかったわけじゃん。そうでしょ。それは、個人なんだよ。簿記に向いてる人に、ピアノのレッスンをさせたって、しょうがないわけよ。算数の練習している方が私は楽なのっていうDNAが入っている人は、その方が楽なの。
だから、そういうのがピッタリ合った人がね、自分で切り開いて、芸術とかアートっていいなって思えるのは、自分しかいないんだよ。
佐藤 : 何を信じて今まで来れたんですか?ジャズに没頭できて。色んな壁もあっただろうし。
日野 : ないよ。
佐藤 : ないんですか!すごい。
日野 : 壁なんてものは、あたりまえだもん。がっかりすることも当たり前。全て当たり前なんだよ。苦労っていう、そういう言葉はないの。苦労するのは、当たり前なわけ。
佐藤 : 本の中に、トコちゃんのことも書いてらして……ジーンときちゃったんですけど。運命ってやっぱり、厳しいですよね。
日野 : 人間っていうのは、面白いよね。
佐藤 : トコちゃんもいっぱい、若い子を育てていらっしゃいましたもんね。
私、ご本を読ませて頂いて、すごく面白かったんですけど、「逆光」。私、会報を作っているんですけど、それに日野さんのご本を掲載させて頂いても良いですか?
日野 : もちろん!!
佐藤 : ぜひ載せさせて頂きます。私は、ジャズも人生も全てが即興っていつも感じているんですが……人生も即興でしょ~~取り返しが出来ない、リセットもできないし、
日野 : そうだね。
佐藤 : だから、とにかく……今この一瞬を思いっきり楽しんでいらっしゃる日野さんと会えて良かったです。
自分じゃなくて、天のメッセージ。
佐藤 : 最後に一言。ではなんで、今までジャズを
続けてこられたんですか?
日野皓正 写真
日野 : 深くて、いつも全然自分の理想ができない。
佐藤 : 追求していたら、今に至る?
日野 : だって、出来ないんだもん。
だから、出来るまでやるしかない。
佐藤 : 自分との闘い?
日野 : 自分じゃなくて、天のメッセージ。
佐藤 : ジャズが僕を選んでくれた、みたいな運命的なもの?
日野 : そういうものではないな。それと、やっぱり、一生通して、ひとつのことをやり通せないようじゃダメだよな。コロコロ変わったり。
佐藤 : 職人みたいですね。
日野 : 職人だよ。決めた以上、一生通せるようにすれば重くなる。それは、やるしかないね。
佐藤 : 楽屋でこんなにマジなお話を聞けるなんて、夢にも思ってなかったです。
日野さんやっぱカッコいい!!!どーもありがとうございました~ぁ

日野皓正著「逆光」 ≪BOOK情報≫
日野皓正著 「逆光」
出版社:近代映画社
定価:1890円(消費税込み)



日野さんありがとうございました。
「プロでちゃんとやるのは、一生魂をそこに置いて一生の契約をする、 その人がプロなんだよ」このメッセージは 音楽の世界のてっぺんを見つめて、常に挑戦し続けてきたひとにしか語 ることのできない¨ジャズ訓¨だと思います。
偉大なのにフレンドリーで、気さくな日野さんの魅力は多くのジャズメ ンとファンの心をキャッチして、みんなを前向きにしてくれるエナジー を強く感じました。
Love Live& @JAZZ フォーエバー

【インタビュアー:さとうみえこ】

*当ホームページ掲載の写真・記事等の無断転載を禁じます。

このページのトップへ戻る

Copyright © 2006 Nichionkyo All rights reserved